リアル
「最悪だ!!!!」


罰ゲームは、大学そばのスーパーに、メイド服のまま打ち上げの買い出しへ。

お酒とお菓子の入った袋を両手に下げ、高橋さんは涙目で帰ってきた。


「すっげーじろじろ見られたし……笑われたし……」


たしかに高橋さん、坊主でごついから……メイド服は似合ってないなあ(失礼だけど)。

そんな高橋さんをみんなでからかいながら、あたしはさっきの話の続きに戻った。


「あ、写真って――あたし撮りましたよ!可愛い森川さんのメイド服姿」


みんなのメイド服姿は、ひとりひとり写真に収めた。

カイ先輩だけ――こっそり、たくさん撮ったけど。


デジカメを差し出したあたしを見て、森川さんは困ったように笑った。


「違う。可愛い中林さんのメイド服姿を、だよ」


意味がわからず、一瞬きょとんとなったあたしは――すぐに目を反らしてうつむいた。

きっと、耳まで真っ赤だったに違いない。


「――“馬子にも衣装”、ってヤツ?」



「…………!!」


からかわれたのだとわかって、あたしは森川さんの肩をぽかぽかと叩いた。


「ひどいです!」


笑って揺れた彼の髪から……甘いあまい、かおりがした。




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