リアル
長く気まずい沈黙が続いた後、森川さんは無言のまま部室を出ていってしまい、あたしは完全にひとり部室に残されてしまった。

でもひとりになったことで、あたしは少しずつ冷静さを取り戻していた。


一番理解できないのは――カイ先輩だ。

どうしてあんな、棘のある言葉を森川さんに吐き捨てるのか、意味がわからない。


そして……少しだけ、ふたりが怖かった。

自分でもびっくりするくらい胸がどきどきしていて、あたしはそれを落ち着かせるために大きなため息をついた。


すると部室のドアが開き、コンビニの袋をさげたカイ先輩が入ってきた。

てっきり森川さんだとばかり思っていたから、あたしは思わずびくっとしてしまった。


「……いる?」


カイさんは大きく息をついて、あたしにプリンを差し出した。

そのいきなりのプレゼントに困惑していると、カイ先輩の手がひっこんだ。


「なら、あげない」


「や……くださいください!ありがとうございます……」


いつもの笑顔に、あたしは少しだけほっとしていた。




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