リアル
3.光と影
新しい自分
「――薫」
いつしか、そう呼ばれるようになった。
お互いに慣れないその呼び名――ふたりで顔を見合わせて、くすりと笑った。
「呼び慣れないな」
「うん……」
放課後には、モ会の部室ではなくワンルームのマンションに通うようになった。
特に何を話すわけでもなく――ふたりコタツに座って、テレビを見たり、ときにはゲームをしたり。
「――今度の休み、どこか行きたいとこ、ある?」
「あ……土日……」
デートなんて、生まれてこのかたしたことがない。
返答に困っていたら、彼は優しく微笑んだ。
「ドライブとか、行きたくない?それともこんなふうに、家でだらだらしてる?」
「行きたいです……!ドライブ」
「もう紅葉は終わっただろうけど……ちょっと遠くまで、足をのばそうか」
あたしは無言でうなずいた。
「……家まで送る。もう遅いから。車取ってくるから、待ってて」
森川さんは、コートを羽織り、部屋を出ていった。
いつしか、そう呼ばれるようになった。
お互いに慣れないその呼び名――ふたりで顔を見合わせて、くすりと笑った。
「呼び慣れないな」
「うん……」
放課後には、モ会の部室ではなくワンルームのマンションに通うようになった。
特に何を話すわけでもなく――ふたりコタツに座って、テレビを見たり、ときにはゲームをしたり。
「――今度の休み、どこか行きたいとこ、ある?」
「あ……土日……」
デートなんて、生まれてこのかたしたことがない。
返答に困っていたら、彼は優しく微笑んだ。
「ドライブとか、行きたくない?それともこんなふうに、家でだらだらしてる?」
「行きたいです……!ドライブ」
「もう紅葉は終わっただろうけど……ちょっと遠くまで、足をのばそうか」
あたしは無言でうなずいた。
「……家まで送る。もう遅いから。車取ってくるから、待ってて」
森川さんは、コートを羽織り、部屋を出ていった。