大好きと言わせて!



「どっちが本物の大次さんだ……。」
「俺は世界中に俺しかいないと思うんだけど。」

「わぁっ!!!」

目の前で、ストライプのスーツをうまく着崩した男が、私の顔を覗く。


お、

お!

「大次さん?!」


そんな大声で叫ぶな……とか言いながら頭をかく。

「たまたま、ここの近くを通っていたら、このカフェで一人変な顔してる女がいてな。見てたらお前だったから来た。」

「なっ。」

真顔でサラッとなんてことを!


しかも変な顔って!人が真剣に悩んでるってのに失礼な!

しかも、あんたのことで!


……こうやって当たり前のように人のことけなすくせに


チラッと大次さんを見てみる。

なによ。何でもない顔して。


「……当たり前のような顔で、女の心もてあそばないでよ。」


なんかいったか?と、大次さんがこっちを見る。

別に、いいけど。

いいけどさ。

……あたしがいたから、来たってこと、でしょ?


あたしに、会いたかったってことでしょ?


それ、他の人にもしてるのかな、、


だめ。意識しすぎたら顔、火照る!!考えるな私!



「おい!さっきの、何か言ったのか?!聞け!」


「な、何でもないの!」

手を降りながら、目をそらしてみる。

すると、大次さんはあからさまに怒った顔をする。

「俺に隠し事とは、お前偉くなったな。」


「も、もともと偉いもん!」


「ほお?」



そういって、若干笑いながら私の向かいに座る。


う、そのたまに見せる笑顔もやめて、、心臓に悪いよ!

大次さんは、私が悶々としている間に、ウェイターを横目で見ながらさりげなくアイスコーヒーを注文する。

注文を受けたウェイターが、ほんのりと頬を赤らめている。

カッコいいですよね。この人。スーツ本当に似合いますよね!社長なんですよ!言うことないですね!

心の中で言ってみる。


そして、思う。

なんかあれだ。たぶん、こういうさりげない姿でも、今こうやって目の前で見れてること、本当に凄いことなんだな。


まだ、話すようになって少ししかたってないのに。




「なんか、人生かわるもんだなぁ、。」



氷の溶けきったミルクティーは何だか味がなかった。


「まず……。」


平凡だったはずなんだけどな。




私。




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