SECRET COCKTAIL
「雅弥、だから、美來に触るの禁止だって」
「なんだよ。いいだろ、お前だけじゃなく、俺だって美來が可愛いんだから」
複雑、だった。
可愛い、と言ってくれるのは嬉しいけれど、それが妹のような感情だという事は良く分かっている。
私だって、こんな言葉に自惚れる程馬鹿じゃない。
だからと言って、自分がこれ以上どんな感情を望んでいるのか分からない。
何も気兼ねする事なく、雅君の傍に居られるこの距離は心地良い。
こんな風に傍に居られるのは、お兄ちゃんがいるからだし。
だからこそ無条件に可愛がってもらえるという事が、物凄く贅沢な事なのだと理解しているつもりだ。