SECRET COCKTAIL
「よし、お祝いだから、今日は飲もうか」
「わーい。私、この前のカンパリオレンジがいい」
「馬鹿。美來はノンアルコールだからな」
雅君の言葉に悪のりしただけなのに、お兄ちゃんに本気で止められた。
「分かってるもん」
分かってる。
これが今の私たちの距離だ。
私はまだまだお子様で。
どんなに優しく受け入れられたとしても。
こんな風に、私には立ち入る事のできないものが彼らの世界にはあって。
その距離は、どうあがいた所で縮まりっこない。
でもそれならそれでいいんだ。
今はこんな時間を、ただただ大切に過ごせたらいい。
そんな風に思うから。
~カンパリオレンジ~
(初恋)