SECRET COCKTAIL
「じゃあ、美來は今日、飯どうすんの?」
「え?私はカップラーメンかなぁ。あ、それよりもごめんなさい。そういう訳で今日、食事無理だと思うんだ」
私が謝ると、雅君は苦笑いを浮かべた。
「いいんだよ。俺は美來の勉強を見るために来てんだから。それなら、勉強終わったら、今日は俺が飯作ってやろうか?」
「ええっ?雅君、料理とかできんの!?」
まさかの発言に目を見開いた私に、雅君は心外だとばかりに眉を寄せた。
「失礼な。これでも俺は料理人の息子だぞ」
「ホントに!?初めて聞いたよ!」
「後で証明してやるから。ほら、さっさとこの課題終わらせちまえ」
興奮して手を止めていた私を優しく諭して、参考書のページを開く。
「うんっ、すぐに終わらせるっ」
雅君の手料理なんて楽しみすぎる。
ゲンキンな私は、勉強が終わった後も雅君と居られるというご褒美が嬉しくて、それだけで集中力が増して猛烈な勢いで課題を終わらせた。