SECRET COCKTAIL


「ほら、出来たぞ」


「う、わ。美味しそう」


素直に口から出て来た言葉に、目の前で雅君は勝ち誇ったようにニヤリと笑う。


テーブルの上には、出来立てのオムライス。


チキンライスの上に、ふわふわのオムレツが乗せられて。

スッとナイフで中心に線を入れると、それはライスの上にトロリと花開く。


ふわりと立ち上る湯気と共に、玉ねぎの甘さと香ばしさの混じり合った食欲をそそる良い匂いが鼻腔に届いて、空腹を自覚したお腹がきゅるりと音を立てた。


「本当はデミグラスソースを掛けたいところだけど、今日はケチャップで我慢な」


「いやいや、これで充分凄いよ」


料理の手際を見ていても、料理の出来を見ていても。

これが素人離れしているモノだとすぐ分かる。


まして、一人暮らしの学生の男の人が簡単に作ってしまうレベルのモノではないはずだ。

それだけで、食べる前から美味しいに決まっているとはっきり分かる。

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