SECRET COCKTAIL


「お、美味しい」


一口食べただけで、その美味しさに目を見張る。


「だろ?」


私の食べる様子を向かいに座ったまま見ていた雅君が、満足気に目を細めた。


「俺の親父、地元で洋食屋をやってんだけどな。どこで食っても親父以上の味に出会えないから、一人暮らしする前に頼み込んで教えてもらったんだよ。だから、親父直伝の味ってわけ」


「そうなんだ。だから、プロ並みの出来栄えなんだね。他にもいろいろ作れるの?卵でくるんだオムライスとかも?」


期待に目を輝かせた私に、雅君は苦笑い。


「ああ、勿論。他にも幾つかな。いずれ機会があったらまた作ってやるよ」


「うんっ。楽しみにしてるっ」


そう答えてから、夢中でオムライスを食べ進めた。

お母さんが作ってくれるオムライスも家庭的な味でもちろん大好きだけど。

雅君の作ってくれたオムライスは、お店でしか食べられないような洗練された味付けと食感だった。

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