SECRET COCKTAIL
cacao fizz


「木戸さん。ちょっといい?」


委員会が終わって、いつもより遅い時間に校舎を出ようとしていた所でそんな声が掛かって、足を止めて相手に視線を向けた。


校舎の中は静かで、もう行き交う生徒はほとんどいない。

呼び掛けられた声が、普段より響いて聞こえた。


「松川君?どうしたの?」


相手は、隣のクラスの松川君で。

クラスが違うから、それまでほとんど話したことがなかったけれど、委員会で席が隣になったことがきっかけで良く話すようになっていた。


「う、ん。あのさ、話があるから、今日一緒に帰れないかな」


どうしたんだろう。


松川君は、なんだか思い詰めたような表情をしていたから、きっと何か相談事があるんだろうと思った。

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