SECRET COCKTAIL
「彩芽さん、大丈夫?」
「大丈夫よぉ、ねぇ、ちょっと来て」
お店の横にある狭い路地。
そこに二人の姿が消えてしまって、引き寄せられるようにふらりと足を向けてしまった。
「ねぇ、いいでしょ?」
髪の長い、ボルドーのワンピースを着た綺麗な女の人が、雅君に抱きかかえられるように立っていて。
長い睫毛に縁取られた瞳が、ねだるように雅君を見上げていた。
雅君の長い指が、彼女の髪を梳いて。
その髪を絡めるようにして、彼女の顔を引き寄せていた。
大きな瞳がゆっくり閉じられていくのが見えて、徐々に二人の顔が重なっていく。