SECRET COCKTAIL
gimlet
ふっと瞳を開けた時、自分がどこにいるのか分からなかった。
革張りのソファ。
身体に掛けられているブルゾン。
嗅ぎ慣れた大好きな香りを感じて、やっと意識が覚醒する。
一度ブルゾンに潜り込んで、大好きな香りを思いっきり吸い込んだ。
私、寝ちゃったんだ。
多田君と飲んでいたはずだったのに、そう言えば後半の事は良く覚えていない。
どうやってお店の奥にある部屋まで来たんだろう。
まさか、雅君が運んでくれたんだろうか。
重たい身体を起こすと、自分の頬が濡れている事に気が付いた。
私、泣いていた?
そう言えば、懐かしい夢を見ていたような気がする。
今もなんだか、夢の余韻で胸が苦しい。