SECRET COCKTAIL
「雅、君?」
小さく呼んでも返答はない。
時計を見ると、深夜二時すぎ。
大分寝てしまったんだろう。
でも、私をここに残したまま雅君が帰ってしまう訳がないから、きっとお店の方にいるのかもしれない。
そっと起き上がって、お店の方に向かう。
微かに話し声がするから、まだお客さんがいるのだろうか。
気が付かれないように、厨房の陰から店内を覗いてみると。
女の人と、雅君が二人でカウンターに座っているのが見えた。
雅君がカウンターに座って一緒に飲んでいるなんて珍しい。
それだけで、仲の良い人なんだろうと分かる。