SECRET COCKTAIL
でも、その事実を話すのがなんだか戸惑われて、私は誤魔化すように苦笑いを浮かべる事しかできなかった。
だけど。
「源氏名だよ。昔のな」
いつの間にかドリンクを作るために目の前に立っていた雅君が、きっぱりと告げる。
「源氏名?」
「水商売してたら、いろいろあんだろ」
「そうなんすか。へぇ、なんか意外っす」
「別に、隠す程の事でもない」
その言葉は、私に向けて言われた言葉のように感じた。