SECRET COCKTAIL


雅君は、滅多な事がなければ仕事を休まない。

仕事しすぎじゃないかっていう位、いつもお店にいる。


それに、私が再会してからは多分彼女だっていないはずで。

誰かのために、彼の時間を費やしている所を見たことがない。


まして、女性のためになんて。


お店のお客さんにそれとなく誘われたって、それに応えた事なんて一度もない。




それなのに。




あの日、あの人の願いに即答していた、雅君の穏やかな声を思い出す。


最近は、あんな風に優しい声を出しているのを聞いた事がなかった。

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