SECRET COCKTAIL
「おい、大丈夫か!?」
多田君が支えてくれて、なんとか体勢を整える。
「おまっ、手ぇ冷たっ。どんだけここに居たんだよ。高城さんは!?」
多田君にぎゅっと手を握られて、思わずパッとその手を離した。
「雅君は、今日はここには来ないよ」
「は?来ないって知ってて、なんで・・・って、泣いてんのか?」
言ってから、しまったと言うように、多田君は言葉を飲んだ。
「な、泣いてない」
誤魔化すように俯いたけど、きっと目が赤くなっているだろうからバレバレだ。
多田君は口を噤んでいるから、きっと困らせてしまっているんだろう。
「ごめんね。なんでもないの。今日はここも休みだし、多田君は別の店に、」
言い掛けた言葉の途中で、強く腕を引かれた。