SECRET COCKTAIL
「多田君だったんだ」
「そう。いつかお礼を言いたいって思ってた。だけどそれを言ったら、そのまま勢いで告白しちまいそうだったから、我慢してた。あの時から、俺は木戸の事がずっと好きだよ」
「・・・・・」
思いがけない人からの熱烈な告白に、頭が真っ白になって咄嗟に返す言葉を見失う。
「これでも、身の程はわきまえているつもりだった。木戸が俺を好きじゃないって知ってたから、もう少し時期をみてから告白するつもりだったんだけど」
「ごめ、多田君。私は」
「でも、好きな人のこんな姿見たら、放っとけない」
多田君は、そっと腕を解いて身体を離す。
「俺なら、こんな風に泣かせたりしない」
初めて見るような真剣な瞳が、薄暗い中でもきらりと光って私を見つめた。