SECRET COCKTAIL
「雅弥も座れよ。久しぶりに一緒に飲もうぜ」
「ああ」
雅弥がビールを注いだグラスを持ってカウンターを回り、隣のスツールに腰かける。
カチン、とグラスを合わせると。
途端に、月日が戻るような気がするから不思議だ。
大学の時に知り合った雅弥とは、学部が違うのに妙に気が合った。
それからずっとつるんでいていて、今ではすっかり親友と呼べる間柄だ。
「穂積は、順調なのか?」
「ああ、まぁな。お前は?」
「何も問題ない。いろいろ、ありがとな」
「何言ってんだ。それはもう、言わない約束だろ」
そうだったな、と力なく笑う雅弥は、ゆっくりとビアグラスを傾ける。
淡いライトが横顔に影を落として、男なのに色っぽく見えるんだから、なんだかくやしい。