SECRET COCKTAIL


穂積が法学部を卒業して、司法試験に受かったというのは、風の噂で知っていた。


あいつなら、当然それ位やるヤツだって思ってた。



大学でも誰よりも優秀で、少し特別な存在だった。


飛びぬけて頭が良くて、だけど全く驕る事もせず。

それでいて、勉強だけをしているっていう訳でもない。


優秀なくせに、嫌味の一つもない穂積は。

人懐っこくてすぐに周囲に溶け込んで、友達の多いヤツだった。



妙に余裕のあるヤツだった。



こいつには適わないと、初めて思ったヤツだった。



そんな男があっさり弁護士になったと聞いても、少しも驚きはしなかった。

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