SECRET COCKTAIL
そんな穂積が最も大切にしていた物がある。
それが、妹の美來だ。
だからあいつが、海外で働くために日本を離れると知った時。
自分がいない時に、美來を守ってほしいと頼まれた時。
何があっても美來を守ろうと心に決めた。
何よりも大切な親友の、何よりも大切な物を守ってほしいという願いは、俺にとっては最優先事項で。
そのために自分の気持ちを殺す位、たいした事じゃない。
それなのに、美來に優しくしてあげられなかったのは。
優しくしてしまえば、自分の想いを隠しきる自信がなかったからだ。
美來は俺が簡単に穢していい女じゃない。
美來に自分の想いを気付かれちゃいけない。
俺はただ傍で、美來が幸せになるのを見届けられればいい。
そう思ってはいたけれど。