SECRET COCKTAIL
「最近、木戸の様子がおかしいんですよね」
「おかしい?」
「元気がないっていうか。生気がないって言うか。それって、高城さんに会っていなかったからなんですね。あの日、高城さんとちゃんと話せたって言ってたのに、あれから元気がなくておかしいとは思っていたんです」
「・・・・・」
「木戸は前に言ってました。雅君の傍にいるだけで元気になれるって。幸せな気分になれるって。高城さんは責任感で傍に居てくれているだけだから自分を好きになってくれる訳もないけど、それでもいいから傍に居たかったって」
どくんどくんと、自分の心臓が強く鼓動を打っているのを感じていた。
「だけど、高城さんが幸せになるためには、自分が傍に居るべきじゃない、とも。だから本当は、自分から離れなきゃいけないんだって。多分、俺と付き合うと言ったのは、木戸の優しさです。自分の想いがあなたに重荷だと思っている木戸が、貴方のためについた、精一杯の嘘ですよ」
頭の芯が、かぁっと熱を持った。
自分の奥底から溢れて来る想いの熱さに喉が詰まって、呼吸をするのがやっとだった。