SECRET COCKTAIL



美來。



どうして。





あの日、切羽詰まった表情で。

涙を一杯に溜めた瞳で。

俺をみつめてきた美來を思い出す。



あれは。


俺の傍にいるのが幸せだと思っていてくれた美來が。

俺のために、俺から離れる事を選んだ覚悟の言葉だったのか。




それなのに、俺は、何て答えた?


珍しくお願いがあると言って来た美來の願いに、何て答えた?



美來の幸せのためだとかなんとか、ぐちゃぐちゃ考えていた事が、酷く滑稽に思えた。




美來。


俺は本当に。


お前の幸せを考えていたと言えるのか?





なぁ、美來。



お前は、本当に・・・。



< 272 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop