SECRET COCKTAIL
「・・・お前、やっぱりいい根性してるよ」
そう呟くしかなかった俺に、目の前の男はニヤリと笑う。
「それって、間違いなく褒め言葉ですよね」
「ああ、そうだな」
思わず漏れ出た本音に、その男は晴れやかに笑った。
良い男だと思った。
本当に、良い男だと、心から思った。
「知基、だったよな?お前、次来た時、なんでも奢ってやるからさ」
「なんすか、突然」
「悪い。今日は、店閉める」
俺の唐突な言葉に、そいつはきょとんと目を丸くする。
「おかげで、目ぇ覚めた」
「高城さん?」
俺は息を吸い込んで、言葉を放つ。