SECRET COCKTAIL
「同じ土俵に立ってやるよ」
それが、背中を押してくれたこいつへの、一番の感謝の気持ちになると信じて。
目の前の男はその言葉を受け取って、勝気に笑った。
「やっとその気になりましたか」
「ああ」
知基はカウンターを降りて、隣に掛けてたスーツを掴んで扉に向かう。
そしてちらっとこちらを振り返って悪戯気に笑う。
「今日も、もちろん奢りでいいっすよね」
当然だろ。
俺が右手で追い払う様な仕草をすると、知基は声を上げて笑いながら店を後にした。