SECRET COCKTAIL






「同じ土俵に立ってやるよ」






それが、背中を押してくれたこいつへの、一番の感謝の気持ちになると信じて。


目の前の男はその言葉を受け取って、勝気に笑った。



「やっとその気になりましたか」


「ああ」



知基はカウンターを降りて、隣に掛けてたスーツを掴んで扉に向かう。

そしてちらっとこちらを振り返って悪戯気に笑う。



「今日も、もちろん奢りでいいっすよね」



当然だろ。



俺が右手で追い払う様な仕草をすると、知基は声を上げて笑いながら店を後にした。

< 277 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop