SECRET COCKTAIL
「カクテル言葉って知ってるか?」
脈絡なく放たれた言葉に、お兄ちゃんの横顔を凝視する。
お兄ちゃんはその複雑な表情のまま、グラスをじっと見ていた。
「カクテル言葉?」
「ああ、カクテルには、一つ一つ意味があるんだよ」
「花言葉みたいに?」
「そう。知らなかったろ?」
「うん」
知らなかった。
それなら、今まで私が飲んだ事のあるカクテルには、どんな意味があるのだろう。
そんな事を思う。
そして、視線の先にあるグラスを持ち上げて、お兄ちゃんに瞳を向ける。
「じゃあ、これは?キールには、どんな意味があるの?」
私の問いに、お兄ちゃんは柔らかく笑みを浮かべた。