SECRET COCKTAIL
「・・・じゃあ、アメリカン・レモネードは?」
私が、今まで飲んできたカクテルに、何か意味があるのだとしたら。
「忘れられない」
ポタッ。
涙が零れ落ちて、カウンターの上で小さな音を立てた。
カクテルの色や匂い。
味やシーンも、全て鮮明に蘇る。
どんな場面で、どんな表情で、あの人がカクテルを作ってくれたのか。
「なぁ、美來?お前なら、その意味が分かるんじゃねぇの?」
ポタッ。
視界がゆらゆらと滲んで。
溢れる涙を止める事なんてできなかった。