SECRET COCKTAIL
ああ、やっぱり単純だ。
雅君の傍にいるだけで。
声を聞くだけで。
ここ数日の暗い気持ちが嘘のように。
こんなに幸せな気持ちになれるなんて。
もう会わない方が良いなんて決めたくせに。
私はやっぱり、雅君が好きだと思い知る。
「何か飲むか?」
雅君がいつかの日のように、カウンターの電気を点けながら店内へ進む。
私はそのままカウンターの前に立って、中でグラスを準備する雅君を見つめた。