SECRET COCKTAIL


気合いを入れるように、残り少なくなったビールをぐっと飲み乾すと。

間を置かずに、すっとグラスが交換された。


「あ、ありがとう」


さすが雅君。

と思って視線を上げると、心なしか不機嫌そうに眉を寄せた雅君が目の前にいて、首を傾げて様子を伺った。


「スクリュードライバー」


「え?これ?」


小さく囁かれた声。


いつものように、お勧めカクテルなのだろうか。


そう思って目の前のグラスに視線を落とした。


オレンジ色をしたロングカクテル。

お酒に詳しくない私でも、知っている名前だったけれど。

雅君がこうして作ってくれたのは初めてだ。

< 32 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop