SECRET COCKTAIL
affinity
チリン。
扉が開いた瞬間に鳴る軽やかなベルの音が、私の心まで弾ませる。
会いたかった人に会えるという気分の高揚が、一番高まる瞬間だ。
「いらっしゃい」
まるで私が来るのを分かっていたかのように。
そこに立つ人物は、私に穏やかな笑みを向けてくれる。
「こんばんは」
「お疲れ、美來。なんだよ、座れば?」
「う、うん」
変わらない場所。
変わらない空間。
それなのに、なんだろう。
漂う空気がまるで違うように感じるのは、私の心境が変わったせいなのだろうか。