SECRET COCKTAIL
「あちらのお客様からです」
小さな声で、他人行儀に言った雅君の言葉の意味を探るように、彼の視線の先に目を向けた。
その先にいた人物が、にこりと微笑む。
え、と。
これってまさか。
心の中がざわりと揺れる。
スクリュードライバーというカクテルが、レディーキラーという異名を持つこと位私でも分かる。
こんな事って本当にあるんだと。
今起きているあからさまな展開に、咄嗟にどんな反応をしたらいいのか分からなかった。
その彼が、自分のスツールを降りてこちらに向かってくる。
スーツを着た、サラリーマン風の男性。
さっき、雅君とやり取りをしていたお客様だ。