SECRET COCKTAIL
「この後、どこか行かない?」
目元に漂うような色気を匂わせて、耳元で小さく囁かれた台詞。
「え、あの、それはちょっと」
はっきり断ろうと思ったところで、タイミング悪く藤井さんの携帯が着信を告げた。
「うわ、上司からだ。ちょっと話してくる。考えといて」
にこりと微笑んでから、携帯を片手に藤井さんが席を立って。
「もしもし」と電話を受けながら、彼はそのまま店から出て行った。
その姿を見送った途端、解放された安堵感にどっと疲労が押し寄せた。
もう本当に帰りたい。
そう思ったところで、いつの間にか目の前に雅君の姿。