SECRET COCKTAIL
gibson
「あれ、元気ないじゃん、どうしたの?」
始業前のデスクに突っ伏していると、頭上からそんな言葉が降り注いだ。
その声が誰の物なのかすぐに分かって。
「・・・おはよう」
と、顔を上げる事もなくそれに答えた。
「ちょっと、何?女子力低すぎなんだけど」
ボディークリームなのかシャンプーの香りなのか。
ふわりと香る彼女の匂いが。
今日も彼女の女子力の高さを物語る。
「初めから私に、そんなのないよ」
「あーあ。素材が泣くわ」
「素材・・・」
「いつも、雅君雅君って言ってキラキラしてるあんたは可愛いと思うよ」
「う、」
その雅君不足で、こんなにやつれているというのに。
こんな事なら、無理してこの前あの場に居座れば良かった。
なんて相変わらずそんな不毛な事まで考える自分に呆れてしまう。