SECRET COCKTAIL
確かに。
別に私が仕事を終わって急いで帰ろうが。
その後に何をしてようが、他人には関係ない。
だけど、それを誰かに堂々と言う事を躊躇ってしまうのは。
この恋が、一方的で。
ただの自己満足で。
独りよがりの想いだと、自分で分かっているからだ。
誰だって、見込みのないこの恋は、早く吹っ切った方が自分のためだと思うだろう。
「人を好きになるって、悪い事じゃないし、隠す必要もない」
「・・・え?」
「俺さ、好きな人がいるって、それだけですごい事だと思う訳。なんか生活とか仕事とか、張りが出て来るっていうか、いろんな事が頑張れるような気がしてくんだろ?」
「うん・・・」
「それに」
「うん?」
「好きな人の事を考えている女の子って、マジで綺麗だって思うし」
「・・・なにそれ」
悪戯気に笑った多田君に、思わず微笑んだ。