SECRET COCKTAIL
「ちょっと俺トイレ行ってくる。ついでに、ドリンク頼んでくるけど、何が良い?」
すでに空になりかけているグラスを指さして多田君が私に問う。
「んー、同じのが良いかな」
「了解」
多田君は席を立って、トイレに向かって行った。
その姿を視線で追っていると、カウンターの雅君にドリンクを注文してくれているのが分かった。
すぐに雅君が、注文通りにカクテルを作ってくれるのが見えて。
つい片肘を着きながら、大好きなその姿に思う存分魅入られていた。
独りになって気が緩むと、急に酔いが回って来たような気がした。
思考がぼんやりとして来たのを自覚する。
今更ながらに、カクテルのアルコールが効いてきたように思える。
瞼が、重い。