SECRET COCKTAIL
「おい、木戸?大丈夫か?」
「・・・ん?大丈夫、だよ?」
答える自分の声が、どこか遠くで聞こえているような気がした。
だけど、果たして自分が本当にそれを答えたのかもあやふやだった。
覚えているのは。
なんだか、心地よい温もりが傍にあったという事。
その温もりの傍で、懐かしい夢を見ていたような気がした。
だけどそれは、きっと都合の良い夢だ。
大好きな香りに包まれて。
優しい温もりに酔わされて。
懐かしい、懐かしい思い出に浸りたいという、私の願望が作り出した夢。
夢の中でもいいから。
あの頃の私に戻ってみたかった。
まだ、何も知らないあの頃に。
純粋に。
ただ真っ直ぐに。
何も怖がらず。
誰かを好きだと言えた、あの頃に。
~ギブソン~
(嫉妬)