強引な彼の求愛宣言!
「あはは。お酒、好きです」

「そうなんだ。いいよね、おいしそうに食べておいしそうに飲むコって」



さらっと放たれた武藤さんの発言に、枝豆をつまもうとしていた手が止まってしまった。

そ、それは、一体どういう……。


ぐるぐる頭の中で考える私の隣りで、松岡さんが呆れたような声を出す。



「おーい武藤~。相変わらずだなァおまえは」

「なにが? 松岡」



薄く笑ったままの武藤さんと、なぜか呆れ顔の松岡さん。

対峙するふたりを見て、なんとなく把握。


……あ、はい。私、軽ーくからかわれたのね。

なのに馬鹿正直に固まるとか、私面倒くさい女か。これくらいさらっと流さないと……!

というか武藤さんって、こんなことする人だったんだ。意外だなあ。



「私、どんどん食べてどんどん飲みますね~! どうせ松岡さんのおごりだし!」

「オイ待て深田」

「うん、じゃんじゃん注文するといいよ。この高級サーロインステーキとかどう?」

「わああ国産牛バンザイですね!」

「なんでおまえらそろって俺を破産させようとしてんだよ」



本気でつっこんでくる松岡さんに、私と武藤さんは顔を見合わせて笑う。

もう、なんでもいいや。武藤さんと飲めるなんて、こんな機会二度と訪れないかもしれないし。

ナチュラルすぎるメイクやら女子力アピールしそびれた件は、この際考えないようにして。

そんな今さらどうにもならないことは気にせず、今夜は思いっきり楽しむぞ……!
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