強引な彼の求愛宣言!
本人にとっては慣れない金融機関というこの場所柄か、来店してからずっと落ち着かない表情をしていた里中さん。
それでも彼女は私の言葉を聞いて一瞬目をまるくした後、今日初めてふわりとやわらかい笑顔を見せてくれた。
「……ありがとうございます。またお姉さんに定期を作ってもらいに来れるように、仕事がんばります」
「ふふっ。お待ちしてますね」
お互いに笑い合って、他愛ない話をする。
ただ目の前の事務処理をこなすだけではない、お客さまとのこんなささいなやり取りに、私自身もやる気と元気をもらえるのだ。
ありがとうございました、と、里中さんの後ろ姿を見送る。
……武藤さんのことばかり考えてる場合じゃない。今日は朝からずっと客足が途絶えず、のんびりしている余裕はないのだ。次にお待たせしているお客さまを呼ぼうと、呼び出しボタンに手を伸ばしかけた。
「ちょっと、お姉さん」
「はい?」
すぐそばから声をかけられて、すかさず顔を向ける。
カウンターを挟んで斜め前にいたのは、この支店に来てもう何度も見たことがある高齢の女性だった。
「いらっしゃいませ。どうされましたか?」
他にもお客さまがいる手前、本当はすぐにでも受付カードを引いてもらった方がいいんだけど、私は一応そう声をかける。
この席は出入り口から1番近い窓口なので、お客さまからちょっとした質問をされることも多いのだ。ひと言ふた言で済むような話なら、わざわざ受付カードを引いて待ってもらうこともない。
70代くらいのその女性は、ハンドバッグをごそごそ探りながら答える。
それでも彼女は私の言葉を聞いて一瞬目をまるくした後、今日初めてふわりとやわらかい笑顔を見せてくれた。
「……ありがとうございます。またお姉さんに定期を作ってもらいに来れるように、仕事がんばります」
「ふふっ。お待ちしてますね」
お互いに笑い合って、他愛ない話をする。
ただ目の前の事務処理をこなすだけではない、お客さまとのこんなささいなやり取りに、私自身もやる気と元気をもらえるのだ。
ありがとうございました、と、里中さんの後ろ姿を見送る。
……武藤さんのことばかり考えてる場合じゃない。今日は朝からずっと客足が途絶えず、のんびりしている余裕はないのだ。次にお待たせしているお客さまを呼ぼうと、呼び出しボタンに手を伸ばしかけた。
「ちょっと、お姉さん」
「はい?」
すぐそばから声をかけられて、すかさず顔を向ける。
カウンターを挟んで斜め前にいたのは、この支店に来てもう何度も見たことがある高齢の女性だった。
「いらっしゃいませ。どうされましたか?」
他にもお客さまがいる手前、本当はすぐにでも受付カードを引いてもらった方がいいんだけど、私は一応そう声をかける。
この席は出入り口から1番近い窓口なので、お客さまからちょっとした質問をされることも多いのだ。ひと言ふた言で済むような話なら、わざわざ受付カードを引いて待ってもらうこともない。
70代くらいのその女性は、ハンドバッグをごそごそ探りながら答える。