強引な彼の求愛宣言!
心の中で考えて、ついむふふと口元が緩む。

そんな私の様子を見つけたらしい三木くんが、ふと、その長身を屈めた。



「……あの。前々から、ちょっと思ってたんですけど」



前置きして、彼は私の耳元に顔を近付ける。



「もしかして、深田さん。……東明の武藤さんに、気があります?」

「ッ、」



思わず、過剰な早さで三木くんを振り返った。

その瞬間手元が狂って許容範囲以上の紙をつっこんでしまい、シュレッダーがガガッと間抜けな音をたてる。

内心しまったと思うのと同時。私の動揺に気付いたらしい彼は、端整な顔にうっすらと黒い笑みを浮かべた。



「へぇーー。いいこと知りました」

「ちょっ、ちょっと、三木くん。なんでそんなふうに思ったの?」



えーうそうそ、私そんなわかりやすい?!

シュレッダーが逆流してきた紙たちを処理しつつ、小声ながらあわてて問いかける。

三木くんは相変わらずの飄々とした態度を崩さずに答えた。



「だって前に武藤さんが来てコーヒー出してくれたとき、無駄に緊張してたし。それに電話つなぐときだって、毎回俺のこと、すっごいうらめしそうな目で見てるじゃないですか」

「う、うらめしそうって……」



いや、否定はできないけど。それにしても言い方ってものがあるでしょうに。

不本意な言い草からつい口をへの字にする私の目の前で、三木くんがなんだか楽しげにうなずく。
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