強引な彼の求愛宣言!
「俺自分でも結構性格悪いなーって自覚してるけど、さすがに女の子もてあそんだりはしないよ」

「う、……そ、それでも、」

「うん。俺になら、構わないって思ってくれたんでしょ?」



両頬をはさんでこちらを見下ろしながら、彼がとろけそうな笑みを浮かべる。



「いいな、それ。最高にうれしい」

「……ッ、」



ポロリと、目じりから涙がこぼれた。

だって、私の方こそうれしい。まさかだいすきな武藤さんと、両想いだったなんて。



「……あのときつけたキスマークは、それが残ってる間嫌でも俺のことを思い出すようにって思ってつけたんだけど。効果テキメンだったな」



そうだよ。鏡を見るたび、武藤さんのこと思い出してたんだよ。

あんなに最初は困ってたのに、消えちゃったときはさみしかった。



「また、つけて。……今度は、できれば見えないところがいいけど」

「さあ、それはどうだろう」



くすりと笑いながら、彼のいたずらな手が服の裾から侵入して脇腹を撫でる。

再開された愛撫に、私の身体はいとも簡単に熱をもった。



「ん……いじ、わる」

「光栄だな。お願いきいて欲しいなら、麻智の方からキスして」



ささやかれて、そっと彼の顔に手を伸ばした。

意地悪でやさしい、端正な顔。両手で挟んで軽くくちづければ、武藤さんは楽しげに目を細める。



「ああ、そうだ──そうやってきみに、俺のことを欲しがってもらいたかった」



夜は長い。私はあと何度、こんな彼に恋すればいいんだろう。

私を捕らえて離さない熱い呼吸も、ささやきも。ふたりだけの世界で、闇に溶けていった。
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