強引な彼の求愛宣言！

「ふーん、武藤さん。深田さんの好みのタイプは、武藤さん」

「な、なんですか、その引っかかる言い方は。あの、なんていうか、ちょーっと憧れてるだけなんだからね？　誰か他の人に言ったりしないでよ？！」

「さあ、それはどうでしょうね」



私にならって声をおさえつつ、つぶやく彼の微笑みは果てしなくほの暗い。

見てくれはイケメンな彼の不穏な発言に、思わず唖然としてしまった。



「ど……『どうでしょうね』って、三木 遥(みき はるか)くんアナタ」

「まあ、そんな無意味に言いふらしたりはしませんが。いざというときの切り札としてしっかり覚えておきますね、深田 麻智(ふかだ まち)さん」



私の口調を真似して、三木くんが言う。

こちらの弱みを握ることができた、と、完全に勝ち誇った様子。


……へぇ～～そう。この私に、そんな態度とっちゃうのね？

それまであせっていた私だけど、彼の不遜な態度にキレイさっぱり遠慮が吹っ切れた。

にっこり、満面の笑みを浮かべる。



「……三木くん。こないだきみがお客さまから住民票をもらい忘れてたことを次長の検印前に気付いて、こっそり教えてあげたのは誰だったかな？」

「すみませんでした」



ここぞとばかりに過去の功績をひけらかすと、三木くんは最敬礼で即座にあやまってきた。

うん、素直でよろしい。融資の若手が預金の中堅に勝てるとでも思ったか！