強引な彼の求愛宣言!
◆ハニーボイスの君
短縮の5番。
デスクの固定電話に登録してあるその番号にかけるとき、俺はいつも、少しの期待と緊張感を持っている。
そう何度もコール音が聞こえないうち、すぐに電話は繋がった。
《ありがとうございます。宮園信用金庫永田支店、深田でございます》
……ああ、彼女だ。
一拍置いてから、俺は口を開く。
「……こんにちは、東明不動産の武藤です。いつもお世話になってます」
フカダ、という名字を名乗るその人物が電話に出ると、いつも自然と口元に笑みが浮かんでしまう。
そしてその甘い声が、いつだって俺の中に劣情を芽生えさせることを。
いつか彼女に伝えられる日は、来るのだろうか。
『甘薬ヴォイス』番外編
~ ハニーボイスの君 ~