強引な彼の求愛宣言!
「で、どんな人ですか??」



空気が読めない、というか元より読む気がない青島が、こちらの変化なんてまるっきりスルーで畳みかける。

少し考えてから、俺は口を開いた。



「まあ……かわいい感じの人。少なくともおまえよりはいくつか年上だと思うけど」

「へー! いや全然、俺年上もイケますよ!!」

「……そう」



年上、って聞いて引くかもしれないと思ったのに。意外とストライクゾーン広めか青島。

内心で思いっきり舌打ちする俺の前で、色ボケ後輩のテンションはますます上がっている様子。



「フカダさん、かわいい系かあ……でも声は、綺麗系っぽいですよね! すごい美人声!!」

「美人声ねぇ……」

「実は俺、結構声フェチでして! やっぱ、声が印象的って得ですよねー。その点、武藤さんのイイ声もうらやましいっす」

「俺?」



突然話の矛先を自分へと向けられ、口元にマグカップを持っていきかけていた手を思わず止めた。



「低めだけどボソボソこもってなくて、聞き取りやすいし。なんか、落ち着いてて安心感ある声です」

「そうかあ? 自分じゃよくわかんないな」



男の後輩に自分の声を褒められるなんて、なんかムズムズする。

今度こそマグカップのコーヒーに口をつけながら、思わず微妙な顔をしてしまった。

たしかに声のことはたまに人から褒められたりするけど、ほんと、自分ではよくわからないから。
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