ダイヤモンドみたいに輝けない
今日はバレンタイン
先輩に好きな人がいるのを知っていて
私はチョコを渡した。
気持ちを悟られないように
義理を強調しながら。
それでも男の人にチョコを渡すのは27年生きてて生まれてはじめてのチョコだった。
「いつもお世話になってます」
できるだけ軽い感じで
それでも緊張で視線を合わせることもできなかったし
チョコをもつ手がほんの少し震えていたかもしれない。
もしかしたらそれで、私の好意が先輩にバレてしまったのかもしれない。
何も言わず浮けとった先輩の指先と私の指先が、不意をつくように触れたから
驚いて、思わず顔をあげた私の視界に飛び込んできたのは
仏頂面の先輩の顔だった。