その手をぎゅっと、離さないで

ちょっとじゃないけどね。

すごくびっくりした。

男子の力ってすごく強いね。

さっきも抵抗しようとしたけど、押されてしまうとやっぱり男の力には負けてしまう。

もっと…

もっと強くならなくっちゃ!

フリーだし…。

「ってか、桜華って光輝好きなんや?」

「はっ、え!?」

なんで光輝!?

私が大輝のことを諦めてないのは光輝が知ってるから、桜庭も知ってると思ってた。

でも本当になんで光輝?

あ、やっばり駅のか。

みんなに見られてたし…。

結構鈍感な桜庭がわかるってことはやばいかも。

たぐっちゃんには話しつけたけど、他の人から見れば絶対好きって思われる。

「あ、あれは助けてもらったの!
変な男の人たちに囲まれたから、さ」

「その話しとんちゃうで?
さっき『光輝!』って呼んだやん?
それのこと」

「え?」

私、光輝の名前なんか呼んだっけ?

「覚えてないんかよ!」

えぇっと…。

思い出せ。
< 128 / 195 >

この作品をシェア

pagetop