その手をぎゅっと、離さないで
ちょっとじゃないけどね。
すごくびっくりした。
男子の力ってすごく強いね。
さっきも抵抗しようとしたけど、押されてしまうとやっぱり男の力には負けてしまう。
もっと…
もっと強くならなくっちゃ!
フリーだし…。
「ってか、桜華って光輝好きなんや?」
「はっ、え!?」
なんで光輝!?
私が大輝のことを諦めてないのは光輝が知ってるから、桜庭も知ってると思ってた。
でも本当になんで光輝?
あ、やっばり駅のか。
みんなに見られてたし…。
結構鈍感な桜庭がわかるってことはやばいかも。
たぐっちゃんには話しつけたけど、他の人から見れば絶対好きって思われる。
「あ、あれは助けてもらったの!
変な男の人たちに囲まれたから、さ」
「その話しとんちゃうで?
さっき『光輝!』って呼んだやん?
それのこと」
「え?」
私、光輝の名前なんか呼んだっけ?
「覚えてないんかよ!」
えぇっと…。
思い出せ。