その手をぎゅっと、離さないで

新幹線に乗り換える時に謝っておこう。




「……かくん、吉岡くん起きて?」

「みんなバスから降りるよ?」

たぐっちゃんか。

なんだよ俺…。

桜華と思って期待した…。

いつもなら『バカ』とか言って起こしに来るくせ。

あいつ相当怒ってるな。

「じゃー新幹線は班で楽しめ!
まぁ5時間ほどかかるから寝てもいいぞ」


ひろっしー枕持ってきて…寝る気満々だな。

俺なんか寝てる場合じゃねぇのに。

新幹線に乗り込むと桜華は既に寝ていた。

とゆうか、寝ているふり?

こんな早く寝れないだろ。

「なぁ皆、さっきはごめん
特に桜華、本当にごめん。きつく言って」

「ぼ、僕も!ほんまにごめんなぁ
柳下にはほんめめっちゃ迷惑かけたし」

またこいつ…。

得意の自己アピール。

「桜華ちゃん、顔あげて話聞いてあげよ?」

頼む…。

桜華、顔あげて俺の話を聞いてくれ。

俺、このままの関係じゃ嫌だ。

あんなので変な仲になるなんて…。

絶対嫌だ!

「桜華!まず僕の話聞いてくれへんか?」

桜庭なら絶対顔を上げる。

多分、あいつには怒ってないし。
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