その手をぎゅっと、離さないで
「わかった、聞く」
「おー、柳下ありがとうや!」
やっぱり。
顔を上げたけど不機嫌さは変わらない。
てゆうか、桜庭はなにを話したいんだ?
話す内容なくないか?
もし観覧車の時のことならこの場で言うのは桜華にも迷惑がかかる。
なら喧嘩のことか。
それなら俺でもいいのに。
「みんなも聞いて欲しい。
喧嘩はまぁ丸く収まった。
やから普通にやってこうぜ!!」
「そうなんだ、なら良かったね」
桜華はそういうけどまだ機嫌が悪い。
桜庭は自己満足してるみたいだけど、俺は納得いかない。
「なぁ桜華」
俺が言うしかない…よな?
「なに」
あぁもうまた機嫌悪くなりやがって。
俺に向ける目と桜庭に向ける目が全く違う。
「ごめん、あの時ついきつく言ってしまった。
もう…桜庭との話はおさまったから」
俺が謝っている時から桜華はうつむいている。
「ほんと反省してるから…ごめんな」
「フフフッ!」
「……え…?」
周りを見ると、皆クスクス笑っている。
「アハハッ、やっぱ光輝おもろーい!」
「バスの中で柳下が吉岡を騙そかゆーたでおもろ
そうやでやってみたらやっぱりお前最高や!」
「…ど、どういうこと?」