その手をぎゅっと、離さないで



「じゃ、また明日〜!」

「桜華〜っ、一緒に帰ろ」

「あ〜うん」

げ、私の方が早いと思ったのに…。

なんで帰らなきゃいけないの。

なんて言えないけど。

てゆうか光輝はもう気にしてないのかな?

私も結構なかったように接しているつもりだけど…。

やっぱどこかで気にしてしまう。

でも帰りに誘ってくるってことは気にしてないのかな。

私のアホ〜。

自意識過剰!!

光輝の言う通りアホになっちゃう…。

「色リ楽しみだな!」

「えっ、あぁうん」

「なんだよ、嫌なのか?」

あなたと帰るのが嫌なんです。

嫌じゃないけど…。

周りの目が痛い。

ほとんどの人はいないけど、ギリギリまで部活がある人は残っているし…。

特にバスケ部なんか恋愛話大好きだし。

変な噂流されたら私、終わりだよ…。

本当についてない。

さっきから光輝が話しかけてくるけど、しょうもない話ばかり。

なら私を誘うな!

「おい、ちゃんと聞いてんのか?」

さっきから雑に頷いていただけだからほぼ聞いていない。

うるさい。

暑いしイライラする。

「あぁ〜、もうやだー!!!」
< 143 / 195 >

この作品をシェア

pagetop