その手をぎゅっと、離さないで

でも離されると緊張が戻る。

違う色の先輩からの目線…。

聞こえてくる悪口。

『調子乗ってアンカーしてんじゃねぇよ。』

うるさい、やめて…。

待って。

待って。

待って…!!

「光輝、待って!!
まだ…まだ離さないで!!」

「…えっ……?」

「あぁ、えっと…その……」

顔が熱くなる。

絶対赤い…。

「ほら、落ち着け。
他のヤツらは気にしなくていいから。
仲間の顔見てみろ。
お前だけじゃない、みんな待ってるぞ?」

さっきより強く握られる手。

安心感で心がいっぱいになる。

光輝もさっきより緊張してるし、顔も紅潮している。

握られた手から光輝の熱も伝わってくる。


――――――今まで頑張ってきたんだから

大丈夫、大丈夫、大丈夫。

皆を信じて。

落ち着け、落ち着け。

最後まで走りきる…!――――――

「よし!行ってくるね。
本当にありがとうね、光輝!」

「おう、頑張れよ〜!」

絶対走りきってやる!!
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