その手をぎゅっと、離さないで

「意味わかんない…!」

「……え?
桜華、どうしたの?ちょ、どこ行くの!?」

楓華の言葉も無視してあの人の所へ進んだ。

なんなのもう。

涙なんてでてこない。

好き?そんな気持ち…。

なくなっちゃった…?

こんな簡単に?

大輝に対しての想いはこんなんだったんだ…?

笑っちゃう。

好き?嫌い?

前なら絶対''好き''って答えられた。

今は?

怒りしかない。


なんでこんな人好きになったんだろう。

なんでこんな人と付き合ったんだろう。

なんでこんな人と一緒に帰ったんだろう。

なんでこんな人を最後まで信じたんだろう。


私は…。

私は、間違っていたの…!?

「帰るぞー!!」

戸を開けて大声で叫んだ。

やけくそになっていたみたいだ。

「お、おう…?」

モヤモヤする。

この人に話したい。

この人と話したい。


「で、なんだよ」

「は!?」
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