その手をぎゅっと、離さないで

「う…負けました…」


光輝といると楽しい。

嫌なことなんて忘れられる。

…えっ……。

これって好きってこと…?

ううん、稚菜とだってこんな風に楽しかった。

だから…友達……?

でも、なんだろ。

そう言われるとなんか寂しい。

「…恋……?」

「ふぇ、え!?」

「なんだよふぇって!!」

「いや、恋っていきなり言うから…!」

本当にびっくりした。

心の中を読み取ったみたいにタイミングがよかったから。


光輝も同じことを考えてたなら…。

なんて、ないない。

え、これやっぱり恋?

あーもうわかんない!

話を聞けただけでスッキリしたし、今日はもう良かった。

「もういいよ、勘違いされるし。
じゃあね、また明日〜!」

手を握ってたことを忘れるくらい焦っていた。

はたから見れば、思いっきりカップルじゃん。

あー、私何してんだろ。

『好き?』

わかんない。

自分の気持ちがわからないよ。
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